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離婚財産分与の知識のすべて

(2) 財産分与は、二人で築いた財産を分けて清算すること(清算的分与)以外にも考慮する要素はあるのでしょうか。

財産分与については(イ)清算的財産分与のほか、(ロ)扶養的要素、(ハ)慰謝料的要素があるといわれています。
(ロ)については、明治44年生の夫と昭和2年生まれの妻との間の離婚で、離婚判決が確定した月から妻が死亡するまで毎月15万円の扶養的財産分与を認めた例(横浜地裁平成9年1月22日判決)、その控訴審である東京高裁平成10年3月18日判決では扶養的財産分与は認められないとしたものなどがありますが、実務的には、例としてはあまり多くなく、財産分与は(イ)の清算的財産分与を中心に考えていいと思います。それから、先ほどの横浜地裁と東京高裁の事件は同じ事案ですが結論は違っています。これは裁判官により考え方が違ったことが大きく、このようなことからしても、法律問題は○か×か、YESかNOかという割り切った答が難しいことがお分かり頂けると思います。
(ハ)については、夫の慰謝料請求については、財産分与の裁判の中で、夫の取得分に慰謝料の性質を有する分与分を加える方法により解決するのが相当とした裁判例(東京高裁平成8年12月25日判決)、一方、離婚に伴う慰謝料請求を基礎づけるに足る事実は認められないとして慰謝料的財産分与は否定した例(名古屋高裁平成18年5月31日決定、もっともこの決定は扶養的財産分与として、夫が6分の5の持分を有するマンションについて、二女が高校を、長男も小学校を卒業するまで、約8年間無償使用できる権利を認めており、このような形での扶養的財産分与を認めた例ということにもなります)などがありますが、実務的には、慰謝料は慰謝料という独立の項目で請求することがほとんどですので、結局、財産分与は、(イ)の清算的なものが中心になります。