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離婚財産分与の知識のすべて

(7) 課税についてはどうでしょうか。

  • 現金の分与
    現金で支払ったり、支払いを受けたりする場合は、原則として課税はされません。支払いを受けた側は所得税も贈与税も課税されません。ただ財産分与に名を借りて、夫婦で築いた財産の寄与度に応じた分配を超えた、実質的には贈与に等しいようなことをすると、贈与税が課されることになります。
  • 不動産の分与
    問題は不動産を財産分与で渡す場合です。
    このときは受け取った方ではなく、渡した方に譲渡所得税が課されることになっています。
    不動産を受け取った方に不動産取得税が課されるのはやむを得ないとしても、渡したほうは何の利得もなしに譲渡所得税が課されるのは納得できないと思われるかもしれません。そう思っている法律家もたくさんいます。ただ現実は渡した方に譲渡所得税が課されるのが確立した判例となっています(最判昭和50年5月27日)。
    理屈としては、財産分与義務が消滅するのであるから、それ自体一つの経済的利益であるとするのですが、渡した方には売買のように代金が入ってくるわけではありませんので、釈然としない思いは残ってしまうと思います。
    現に、夫が不動産を財産分与したところ、後になって約2億円の譲渡所得の課税がなされたため、妻に対して財産分与の無効を訴えた裁判でそれを認めようとしている例があります(最判平成元年9月14日)。
    しかし不動産を渡した方に譲渡所得が課税されるという原則が変えられたわけではありませんので、不動産を財産分与で渡す場合はくれぐれもこの点に注意して下さい。場合によってはあらかじめ税理士さん等の専門家に相談したほうがいいでしょう。そうでないと後になって先ほどの最高裁の裁判例のようなことにならないとも限らないと思います。
    なお、不動産を渡す方がこれに居住していた場合、いわゆる居住用不動産の譲渡の特別控除3000万円の適用を受けることはできますが、長期間の別居等により居住していなかった場合、居住用財産と認められないことになりますので注意が必要です。
    婚姻期間20年以上の夫婦の場合、居住用財産の贈与については2000万円の控除があります。
    このあたりのことになりますと、弁護士でも慎重な人は精通した税理士に相談しているくらいですので(不動産の場合、課税額が大きく、そんなに税金がかかるとは思わなかったでは済まされないため)、一人で判断せず税理士さんや税務署の相談コーナーで尋ねてみるのがいいと思います。